米軍駐屯地で精神疾患の疑いをかけられた若き兵士をめぐり、精神科医のフィルとその上官アルの意見は対立する。患者の異常性を認めたフィルは、数々の実験を通して兵士とその恋人の秘密に迫ってゆく…。
全篇ほぼフィルとアルの書簡、兵士の手になる告白擬小説で綴られるこの作品、【変種のヴァンパイア小説】と謳われているが、ドラキュラ伯爵やルースヴェン卿などの伝統的・正統派吸血鬼贔屓の目からすると、ここに出てくるのは吸血鬼ではなく嗜血症の疑いが濃い人間にすぎないと断じてしまいたいところ。宣伝帯にはエロティシズムに彩られた、とあるが強調するほどでもなかろう。極めつけは表紙イラスト。中身と全然合っていない。
しかし全ての血の供給がこの方法で済むならば、吸血鬼の食糧問題は解決するのだけれど。
📖作品情報
きみの血を (原題:SOME OF YOUR BLOOD)
訳者:山本光伸
出版:2003年(1971年にハヤカワ・ミステリとして刊行された作品の文庫化)
出版社:早川書房 [ ハヤカワ文庫NV <NV1027> ]
耽美度:⭐☆☆☆☆
血しぶき度:⭐☆☆☆☆
総合おすすめ度:⭐⭐☆☆☆

